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【FGOSS】沖田総司怪文書「雨宿り」【FGO怪文書】

2020.10.07 FGO怪文書 (0)

【FGOSS】沖田総司怪文書「雨宿り」【FGO怪文書】
沖田総司
1: FGO民
「……あ。雨……」
「え?」
隣を歩く彼女が空を見上げて呟く。それに倣って見上げれば、どんよりとした鉛色の空。頬に当たった冷たい感触は、雨が降り始めたことを知らせる。
「もう降ってきちゃったか……」
念の為に用意しておいた傘をさせば、疎らな雨音が耳朶を打つ。けれどそれは徐々に勢いを増して、いずれ大雨になる事を予想させた。
「休憩も兼ねて、どこかで雨宿りしようか」
「そうですね……あっ。あそこのお店なんか良さげじゃないですか?」
「お、確かに雨宿りにはうってつけ……って……」
彼女が指差した先には、一際目立つ華やかな店。ショーウィンドウには煌びやかなお菓子が並べられている。道行く人も時折、雨の中だというのに足を止めては、店に入って行く人も見受けられた。
「……おやつ、食べたいだけでしょ」
冷ややかな視線を送りつつ指摘すれば、彼女はぎくりと体を震わせて下手な口笛を吹き始めた。……彼女の甘味好きにも困ったものだ。
「い、いいじゃないですか!ほら、腹が減っては何とやら、ですよっ。だから……ね?」
白い目で見やれば、開き直ったように声を大きくする。続けてねだるような上目遣いの瞳。計算なのか天然なのか、何れ、この瞳にはどうにも弱い事に違いなかった。
「はぁ……ま、いっか……」
「やったっ!」
了承の返事をした途端、傘をご機嫌に揺らして先を行く彼女。随分調子のいい事だと思わなくもないが、乗せられる方も乗せられる方なので何も言えない。
笑顔で手招きする彼女に応えるように、傘を揺らしてから後を追う。その笑顔が見られるのなら、いくらでも乗せられて構わない……なんて、少し気障すぎるだろうか。
一歩踏み出したその足元でぴちゃりと水音が鳴った。それは何かを答える訳もなく、静かに雨音に溶けていった。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二人です」
「お二人様ですね。では、こちらへどうぞ」
案内されたテーブル席に向かい合って腰掛ける。雨脚は先程より勢いを増したようで、すぐ横の窓ガラスを叩く音は軽いBGM程度に。傘とガラスの違いだろうか、少し硬い雨音は先程よりもどこか冷たく感じられた。
「う~ん……どれにしようか悩みますね~」
彼女はと言えば席に着くなりメニューとにらめっこ。あれでもない、これでもないと唸りながら、しかしどこか嬉しそう。その姿は年相応の少女のもので、ついつい見入ってしまう。
「……あ、マスターも何か頼みますか?」
「え?……ああ、うん。そうだね」
それを催促と受け取ったのか、独占していたメニューをテーブルの上に広げる。特に腹ごしらえが必要な訳でもないけれど、雨宿りさせてもらっている訳だし頼んでおくべきだろう。
ざっと眺めてみると、大部分はスイーツに彩られている。軽食も提供してはいるようだが、やはりと言うかそれらは主役ではないらしく、メニューの端の方に追いやられていた。
「沖田さんはですね、コレとコレが良いかなぁ、なんて思いますっ」
真ん中の辺りで彼女の白い指が踊る。その先にはたっぷりとフルーツが乗ったパフェと、これまたたっぷりとクリームの乗ったパンケーキ。
「え……おやつには重くない?」
「そんな事ありませんよ。これくらい普通です、ふ・つ・う。一度食べてみたかったんですよね~♪」
「そ、そう……」
『甘いものは別腹』とは言うが……それにしても恐るべし。
「――ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「では、少々お待ちください」
ぺこりと一礼した後、厨房へと向かう背中を見送る。結局、注文したのは先の二品とコーヒーゼリー。何故これを選んだかと言えば、甘過ぎず、かつ大した量もない物がこれくらいしかなかったからだ。……あの二品を見ただけでも甘い物はお腹いっぱいだと言うのに、さらに甘い物を食べようものなら即座にテーブルの上にぶちまけてしまう事間違いなしだろう。
広げたメニューを片付け、ふぅと一息つく。待っている時間と言うのは存外に長く、得てして暇なもの。今回も多分に漏れずに暇を持て余す。いつもはおしゃべりな彼女も、今は窓の外を静かに見つめている。たまにはこちらから話を振ろうとして――止めた。
「……」
その横顔に、いつもの明るい彼女とは違う、知らない彼女をみた気がして。何となく言葉に詰まってしまった。
そっと窓の外に視線を逃す。相変わらず雨は降り続けている。人々は足早に駆けて行き、黒、紺、群青……暗い色ばかりが通りを流れていく。
手持ち無沙汰を紛らわす様にグラスに手を伸ばす。からんと氷が音を立てた。
「雨……止みませんね」
じっと窓の外を見つめていた彼女が不意に口を開く。ぽつりと呟いたその言葉は、そこそこの喧騒の中でもしっかりと耳に届いた。
「ついさっき降り始めたばっかりだし、まだしばらくは止まないだろうね」
「そう、ですね。……雨と言えば、もう梅雨の季節ですね」
「梅雨……?ああ、そう言えば今ってそんな時期だっけ」
一瞬、何の事かと迷ったが、彼女が言っているのはここではなくカルデアでの時間の事だった。やがて七月に入ろうかと言う所だが、地方によっては未だに梅雨真っ只中のところもあったような……高々一年程前の記憶のはずなのに、随分と昔の事のような気がした。
「いやぁ、カルデアって季節感があんまりないし、梅雨とか忘れちゃうって言うかさ」
「ふふっ、確かに。窓の外の景色は全然変わりませんもんね」
こちらを向いて小さく笑った後、彼女は再び視線を窓の外に送った。その瞳はまるで、何かを懐かしむように悲しげな色を帯びていた。
「……梅雨は、嫌い?」
その理由が気になって、つい疑問が口を突いて出る。意外な質問だったのだろうか、彼女は少し驚いた表情に続けて困ったように笑って見せた。
「そう……ですね。梅雨が、と言うよりも、雨が嫌いでしたね」
また一つ雨が強くなったようで、窓を叩く音が少し大きくなる。グラスの中に視線を落とした彼女に、無言で続きを促す。
「雨の日は、体調を崩す事が多かった気がしますから」
「――」
失敗した――そう悟った時にはもう遅かった。弱々しく笑う彼女を前に体が強張る。
体調を崩してしまっていては、彼女の願いは――仲間と共に戦う事は叶わなかったのだろう。きっと、布団の中で休んでいて……側には誰かが居たかもしれないが、それは彼女が望んだ人――共に戦う仲間達ではなく。その意味において、きっと彼女は孤独で。
「……っ」
そんな彼女の瞳に、降りしきる雨は果たしてどのように映っていたのだろうか――そんなことを考えると、きゅうと胸が締めつけられた。
「……ごめん」
「え?ど、どうしたんですか、急に。マスターが謝る事なんて、何も――」
「ごめん。嫌な事を思い出させちゃって」
「…………いえ、過去の事ですから。そもそも、雨を見て思い出しちゃっただけでマスターが悪い訳じゃありません」
悪いのは私の体と雨ですよ、雨!と、おどけてみせる――穏やかで真っ直ぐな瞳には、暗い色こそ残っているものの、少なくともその笑顔は痩せ我慢や空元気の類では無いらしかった。
「それに……私、言いましたよね。雨が嫌い『だった』って。今は、嫌いじゃ無いんです。多分、皆と一緒だから」
「皆と……」
彼女が聖杯に託した望み……それは、仲間と共に最後まで戦い抜く事。生前には叶わなかった夢。
今でも『病弱』の所為で体調を崩してしまう事が多い彼女だが、お見舞いに行くと決まって彼女の側にはノッブがいて、土方さんがいて、茶々がいて……きっと、彼女はもう孤独ではないのだろう。
「……そっか。それなら、良かった」
気の利いた台詞は言えないけれど。本当に、心からそう思う。その気持ちは確かに伝わったようで、彼女は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「お待たせいたしました」
不意に、横から声をかけられる。はっとして見やれば、注文した品を持ってきた店員さんだった。何だか恥ずかしいところを見られてしまったような気がして、慌てて平静を装う。一瞬、訝しげな視線が刺さった。
「?……こちら、季節のフルーツパフェ、たっぷりクリームのパンケーキとこだわりコーヒーゼリーとなります。ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「ええ、これで全部です」
「では、こちらが伝票となります。どうぞごゆっくり」
ぺこりと一礼して去っていく背中を横目に、テーブルの上に並べられた料理に向き直る。異様な威圧感を放つ大ボリュームのデザートを前に、彼女は目を輝かせていた。
「さて……それじゃあ頂きましょうか!」
「……うん。そうしようか」
手渡されたスプーンを受け取り、揃って手を合わせる。
窓の外では、雨が少し弱まった様だった。
「――お待たせ、沖田さん……って、どうしたの?」
雨足も弱まった頃合いを見計らい、少々長めの休憩を終える。もう外に出ているだろうと急いで会計を済ませてみれば、彼女は入り口の扉の前でしょんぼりと肩を落としていた。
「…………盗られました」
「え?」
「傘を、盗られました……」
「え、えぇ……?」
見やれば、確かに彼女が使っていた浅葱の傘は見当たらない。些か以上に目立つ色のそれを、まさか間違えて持っていったなどという事は無いだろう。
「えっと、ご愁傷様……?」
「良いですけどね、別に。沖田さん、このくらい慣れっこですから」
気にしていないと言う風な言葉とは裏腹に、唇を尖らせていじけた彼女。何と言ったものか微妙に言葉に困り、曖昧な笑みを返す。
「それに、霊体化すれば雨も気になりませんし」
「あ、駄目だよいきなり霊体化しちゃ。人目の付かない所じゃないと騒ぎになっちゃうから」
「む……それもそうですね。では、ささっと路地裏に駆け込むとしましょ――」
軒先から今にも雨の中に飛び出さんとしている彼女を遮るように自分の傘を差し、軽く傾けてみせる――ちょうど一人分のスペースを作るようにして。
「ほら、一緒に行こう?」
「……はいっ」
未だに止まない雨の中、一つの傘に二人並んで歩き出す。
「――あなたが、隣に――」
「……?ごめん、ちょっと聞き取れなかったんだけど、何か言った?」
「…………いえ。大した事ではありませんから。それよりマスター、私の方にばかり傘を傾け過ぎですよ。肩が濡れてしまっています」
「いいのいいの。こういう時、男の子は格好つけたいものなんだよ。特に――」
「……?特に、何ですか?」
「あー……いや、大した事じゃないから。気にしないで」
「はあ……?」
FGO民
やっぱり相合傘って良い物ですね
傘泥棒は許されんけど
FGO民
やはり沖田さんは湿気が似合う良い女だよ
傘泥棒は許さんくたばれ
FGO民
せめていつか一緒に傘を選びに出かけよう…
傘泥棒は見かけたら殺そう…
FGO民
しっとりしてる沖田さんは美少女だなあ
FGO民
この2人には幸せになって欲しい…
ので手始めに傘泥棒を処す
FGO民
実際なんらかの形で傘泥棒は絶対誰かにぶっ飛ばされてそう
FGO民
>しっとりしてる沖田さんは美少女だなあ
まるで普段の沖田さんは美少女じゃないみたいな言い方!
FGO民
>>しっとりしてる沖田さんは美少女だなあ
>まるで普段の沖田さんは美少女じゃないみたいな言い方!
個人的なイメージとしては普段美少女でしっとりしてると美女って感じがする
FGO民
「」達の傘泥棒への恨み辛みで余韻全部吹き飛んだぞこの野郎
FGO民
>「」達の傘泥棒への恨み辛みで余韻全部吹き飛んだぞこの野郎
沖田さんを悲しませて良い訳ないし…
FGO民
>ぐだおじ毎日モテスクスレ立てて楽しい?
うるせぇ俺みたいにキュンキュンできる怪文書書けるようになってから言え
FGO民
>うるせぇ俺みたいにキュンキュンできる怪文書書けるようになってから言え
今後とも応援してます


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