【FGOSS】グレイ怪文書「風邪」【FGO怪文書】|ぐらんどお~だ~ちゃんねる

AdSense
ホーム About 怪文書(ジャンル別) 怪文書一覧 Twitter イラスト・漫画 RSS

【FGOSS】グレイ怪文書「風邪」【FGO怪文書】

2019.06.18 FGO怪文書 (0)

【FGOSS】グレイ怪文書「風邪」【FGO怪文書】
グレイ
1: FGO民
息が荒い。
身体が熱い。
視界の焦点が定まらない。
自分の名を呼ぶ声が、徐々に遠くなってゆく。まずい、ここで倒れるわけには---
必死で踏ん張るけれど、身体に力が入らない。そんな精一杯の抵抗も虚しく、意識が闇へと落ちていった。

2: FGO民
「うん、風邪だね」
事も無げに告げるダ・ヴィンチちゃんの声に、俺とマシュは揃って拍子抜けしていた。
先日、カルデアにサーヴァントとして無事加入したグレイが、戦闘の直後に倒れるという衝撃的な事件が起きてから、数時間が過ぎていた。何か尋常ではない怪我を負ったのかと押っ取り刀でメディカルルームに駆けつけたのだが、この困った技術主任は、戦々恐々とする一同の前でわざわざ一度深刻な表情を作ってから、いとも簡単にこう宣ったのだった。
「ダ・ヴィンチちゃんさぁ…俺ならまだいいけど、新所長とかにはこういうことするのやめなよ?ネタばらしする前に、心配でどっかに飛んでっちゃうだろうから」
「あはは、ごめんごめん。明るく振る舞っておいて、実はとんでもない異常でした、っていうよりはいいと思ってさ。
それに、後ろの人がずっと怖い顔をしているから、少し気分を解してあげようかと」
そう言われた長身の彼は、少しばつが悪そうにそっぽをむいた。

3: FGO民
「ごめんなさい、エルメロイさん。この人はこういう人なんです。
でも、サーヴァントが風邪?以前、シュメル熱がカルデアに蔓延したことがありましたが、あれとは違うのでしょうか」
そのとき、後ろにいた彼が口を開いた。
「いや、あれと原理は同じだろう。敵の放った呪いによって、呪いを受けた側に病気のような不調が起きているということは、今回も変わらない。
ただ、あのエネミーの呪いは神霊の持つ病魔の権能には遠く及ばん。それにも関わらずグレイの身体が影響を受けてしまったのは、恐らくサーヴァントになって間もないために、魔力の効率的な使用に慣れていないことが原因だろう」
「それと、あのロンドンの特異点での事件からずっと働きっぱなしなのもね。バイタルサインを見たけど、あの子そうとう消耗してたみたいだよ」

4: FGO民
確かにそうかもしれない。カルデアに来てから、彼女はほぼ全ての戦闘に参加していた。休んだ方がいいのではと問うても、休めるときにきちんと休んでいるから大丈夫だと言われるばかりだったのだ。
「ごめん、俺がもうちょっと、ちゃんと気づいてあげられてたら…」
「君が気に病むことはない。自身のコンディションを万全に保っておかなかったのは彼女の責任だ。それに、彼女を前から知っている私の口から注意しなかったのも、原因のひとつだ。すまなかった」
「そっか…ありがとう。それとさ、エルメロイさん---」

5: FGO民
立ち去っていくマスターとマシュを見送りながら、なんてこったと口に出そうになるのを抑えて、眉間に手を当てて天を仰ぐ。
「まったく、こんなことのためにわざわざ…非生産的にも程があるだろう」
「まあまあ、そう言うなよ兄上。それに、君のためにもいいかもしれないよ?」
「どういうことだね」
「さっき説明してくれた通り、彼女の症状はさして深刻なものじゃない。普通の風邪と同じように、一晩休めば何事もなかったように元通りさ。
でも、それがわかっているにしては、あのとき随分心配そうな顔をしていたじゃないか」
お前の考えていることなどお見通しだとでもいうように、彼女は美しい金の髪を靡かせてにやりと微笑んだ。
「ほら、早く行っておいでよ。マスターのご命令だろう?」
「言われなくてもそうするさ…全く」
「安心したまえ、このことは次のお茶会で彼女にたっぷり話したあとで忘れてやるから」
きっといつものように満面の笑みを浮かべて言っているのだろうと想像しながら、踵を返して歩き出す。きっと向こう一週間は、このネタでからかわれるにちがいない。
「ああ…なんてこった」

6: FGO民
雨のしのつく街を、師匠と一緒に歩く。
どこに行くかはわからない。師匠に聞いても、すぐにわかると言って教えてくれない。
いつも背が高くて見えない師匠の顔が、今は余計に遠く思えた。
そうしているうちに、一軒の屋敷の前に着いた。
なんの変徹もない家だったが、嫌な予感が拭えない。師匠は、ここで何をするつもりなのだろう。
「ここで待っていてくれ、グレイ。すぐに戻る」
ドアが開いた瞬間、戦慄した。ドアの先の空間には何もなかった。一面の闇が、ぽっかりと口を開けていた。
理由は何もないが、本能が告げている。あそこに入ったが最後、二度と出てこられないと。
でも、師匠はその暗闇に歩を進めて行く。まるで何も知らないように、平然と。
止めないと。師匠が消えてしまう。また、いなくなってしまう---
「師匠……!」

7: FGO民
目を覚ますと、視界に入ってきたのは知らない天井だった。
夢か。また、同じ夢を見るようになってしまった。確か、自分は戦闘が終わった後に倒れて---
部屋の照明はついていなかった。今が何時で、あれからどれくらいの時間が経ったのかもわからなかった。
闇に消えていった、あの人の顔が頭から離れない。いま、どうしているんだろう---
迷惑だとわかっていても、あの人に会いたくて仕方がなかった。
地面に足をつけて歩き出そうとするけれど、身体に力が入らない。ふらふらとして、まっすぐ歩けない。
それでも、行かなければ。師匠は、拙が守らなければ---
「無理に起き上がるな。まだ、治ってはいないのだろう」
求めていた声は、意外なほど近くにあった。

8: FGO民
ベッドサイドの照明だけが、部屋の隅をそっと照らしていた。
「なぜ、ですか。拙は--」
「ここは私の部屋だ。マスターに、一日暇を出された。君についていてやれと言われてな。全く、ずいぶんとお人好しなことだ」

「ごめん、なさい。拙なんかのために---」
自分に何が起きたかを理解すると同時に、申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。
マスターに心配をかけてしまった。師匠の手を、煩わせてしまった。
いつもそうだ。いつだって自分は、誰かの期待を裏切るようなことしかできない。あのときだって、師匠は死んでしまうかも知れなかったのに、何も、できないで--

9: FGO民
「なぜ、あのとき私を庇った。どうして、私の代わりに呪いを受けるようなことを---」
師匠が、静かに問いかける。怒っているだろうか。自分のせいで、余計な時間を取らされたことに。
「申し訳、ありません。余計なことをしてしまって。
でも、拙は、師匠に傷ついてほしくないんです。
自分の痛みは、我慢できます。でも、師匠が苦しい思いをしていると思うと、胸がぎゅっと締めつけられるみたいで---
とても、つらいんです」
ああ、どこに行っても同じだ。自分はどうしようもなく弱くて、そのせいで誰かが苦しむ羽目になるんだ。
「ああ、とても迷惑だ。
私のことなどを庇って、代わりに私の目の前で倒れるなど。
もう、こんなことはやめてくれ。ますます、自分が嫌いになる」

10: FGO民
「具合はどうだ」
「少し、よくなりました。熱はまだあるみたいですけれど」
突然、横になった拙の顔を、師匠が覗きこんできた。手が、額に触れる。
「あの、師匠…少し、恥ずかしい、です」
思わず目を閉じる。自分の顔には、あまりいい思い出がないから。
「やはりまだ熱があるな。少し待っていろ」
突然、ひんやりとした感触が額に触れる。水を含ませた布を、当ててくれているのだというのはすぐにわかった。
「これ、師匠のハンカチ…!」
「これしかなかったんだ。不満なのはわかるが---」
「そんなこと、ないです。本当に、ありがとうございます」
一気に具合がよくなったような気がした。もしかして、師匠は魔術師ではなくて、魔法使いなのではないだろうか。

11: FGO民
「どことなく嬉しそうに見えるんだが」
師匠が苦笑する。病気にかかって喜ぶ人間なんて、そうはいないだろう。
けれど。
「こうやって、誰かに看病してもらうのは、とても久しぶりな気がします。
この顔になる前は、風邪を引くと母がついていてくれたな、と思って」
人並みに病気になることもなくなってしまったから、すっかり忘れてしまっていたけれど。
「そうか。すまなかった、嫌なことを思い出させたか」
「そんなこと、ないです。師匠が優しくしてくれたから、拙も幸せな思い出を見つけられたんです」
少し、ぼうっとしてきた。眠るのも、いいかもしれない。

12: FGO民
「師匠は、自分のことを嫌いだっておっしゃいますけど、拙にとって、師匠はたったひとりの大切なひとなんです。
だから、あんまり自分のことを責めないでください。拙も、悲しいです。
でも、師匠がどんなに自分を嫌いになっても、拙はずっと師匠のそばにいます。
師匠が自分を嫌うよりもずっと、拙は師匠のことを、好きでいたいんです」
厚かましいことを言っているのはわかっている。でも、これは自分のほんとうの気持ちだ。
誰よりも、師匠自身よりも、この人のことを大切にしてあげたい。たとえ誰も気づかなくたって、あなたはあなたであるだけで、拙をこんなにも幸せにしてくれるのだから---

13: FGO民
誰かの手が、自分に触れている。その手の温度が、拙に伝わってくる。
それが誰の手なのか、どこから来るのかも分からない。でも、幽霊のような怖さは少しも感じなかった。
手が動くのが分かる。撫でて、くれているのだろうか。
フードに隠している顔に触れられているのだから、嫌だと思うはずなのに。
この手に触れられるのは、なぜかひどくほっとする。
そうだ、自分はこの温度を知っている。
暖かくて、心地よくて、何よりも自分を安心させてくれる温度。
だれよりも大切な人がくれる、やさしいぬくもり---
もっと近くに感じたくて、手を握りかえす。
きっとあの人は、恥ずかしがるだろうけれど。
拙を満たしてくれたこの気持ちが、あの人にも届きますように---

14: FGO民
以上です
グレイちゃんは熱でぼーっとしてるときに普段遠慮して言わないことを言って2世を困惑させてほしい
しかしバルバトス君がサーバーと一体化していたとは知らなかった

15: FGO民
抱けー!抱けー!

16: FGO民
拙ちゃんって地の文でも自分のこと拙って言ってたっけ

17: FGO民
>拙ちゃんって地の文でも自分のこと拙って言ってたっけ
漫画なら言ってる

18: FGO民
原作だと自分のことは地の文だと自分呼びだな

19: FGO民
真っ当な怪文書もいいものだな…

20: FGO民
真っ当な怪文書って矛盾しとる気がするんじゃが…

21: FGO民
二世はここまで想ってもらってなんともおもわないの?


元スレッド:https://img.2chan.net/b/res/589184159.htm

関連リンク

風邪…

この記事へのコメント
コメントを書く

 非公開コメント ()

トラックバックURL
この記事へのトラックバック
相互リンク募集中!
FGORSS
アニゲRSS
逆アクセス
Copyright © ぐらんどお~だ~ちゃんねる All Rights Reserved.
Designed by KAETENテンプレート